ef-ef14の軌跡

【感想】黒鉄の魚影

 

まさか、ここまでとはな・・・

 

この言葉はコナン式の最上級の賛辞だと思っているんですが、それが「黒鉄の魚影」を観終わった感想です。

 

今までのコナン映画で最も踏み込んだ内容だったんじゃないかなと。灰原哀物語のひとつの集大成みたいな映画でした。

アニメキャラクターでいえば、灰原さんはたぶん初恋のひと。もちろん、新一と蘭の恋模様を20年以上見守っているけど!ミラクルキュートなサイエンティストには特別な想いがある・・・。そんな想いを持っていたらね、この映画は刺さりすぎました!

 

以下ネタバレ注意

 

 

 

 

 

 

 

 

まず序盤から灰原がシェリーの幼児化した姿であることがバレる。

「漆黒の追跡者」の予告でもコナンの正体がジンにバレるという描写が予告の段階でありビビったもんですが、まぁね、流石にバレへんやろって思ってたら案の定、夢オチでしたね。それが、今回は、マジでバレる。

所在を掴まれることよりも”幼児化”したという事実がバレるのは名探偵コナンにおいて非常にまずい事態です。ピスコのときもミステリートレインのときも一時的に元の姿に戻ってなんとかごまかしていたというのに!灰原哀の姿のままウォッカと対峙してるシーンはシリーズファンであればあるほど冷や汗ものだったと思います。

まぁ映画ですし、本編とはパラレルな部分もあるし、最終的にはうまく着地することはわかっているけど・・・だいぶ緊迫感ありました。他の映画よりも踏み込んだものになっていると感じました。

灰原さんが拐われてしまうシーンで、それを阻止しようとするのはコナン、博士、そして蘭!!!蘭が飛び出たシーンめっちゃかっこよかった・・・。終盤で活躍することは多いけど序盤から前線に出てくるのは珍しくて、それが灰原を守るためっていうのが・・・ベルモット編のクライマックスを思い起こされて、もう泣けてきました。

事件の裏で暗躍する黒の組織の陰謀にコナンだけが気づいて、なんとか防ぐっていうことが映画では多かったんですが、蘭まで参戦したことで今回は組織と全面対決なんだなって感じられましたね。

 

キール、がんばってた!

疑われたり危機に瀕することが多くて活躍するのは難しい状態のキールですが、今回めちゃくちゃ頑張ってくれてました。灰原さんが脱出できるように小細工をいろいろと。今回の映画キャラである直美・アルジェントの父親が組織に狙撃された時に、組織のせいで身内を失ったという経験をしている灰原さんとキールが苦しそうにしてるのが、、つらかった。まさかイーサン本堂の回想まであるとはね;

回想で思い出しました。原作キャラであるピスコ、テキーラだけじゃなくて映画キャラであるアイリッシュキュラソーもちゃんと触れられてて、、それもすごくよかった。ほんと今までのハイライトが随所に見られてコナンと共に生きてきたファンとして歓喜していましたよ!

 

正体を掴まれ、組織の潜水艦に囚われている状況は過去の灰原さんなら諦めていそうな場面ですが、むしろ逆に直美さんを励まします。

「子どもの言葉や行動で人生が変わることもある。

私はそれを体験した。

私は変われたわ。だから信じて!」

 

これ・・・きっと歩美ちゃんに言われたあの言葉だ。。

「逃げたくない!!

逃げてばっかじゃ勝てないもん!!ぜーったい!!!」

この言葉を胸に組織に立ち向かおうとしてきた灰原さんを見てきていたから・・・

コナン、蘭、歩美の困難に立ち向かう強さを今では灰原さんもしっかり持ってるんだって思うと、、また泣けてきて。。w 先日見た「天国へのカウントダウン」から考えると余計にね。ここまできたんだなと感慨深い。

 

コナンというスーパーヒーロー

今回も半端じゃない活躍で常人じゃないぷりを発揮してくれたコナンくん。素の潜水能力もやばいし潜水艦や魚雷が飛び交う海中でもまさに鉄人のごとし。超電磁砲みたいなシュートも放ってたしw 今回は特に真剣な表情多くてカッコよさも増してた。

でもそんなスーパーなコナンでも吹き飛ばされた蘭を受け止めることはできなかったし、潜水艦を撃沈することまでは手が回らない。結構焦っている様子もありました。そんなコナンをサポートしてくれる赤井さんと安室さん頼もしすぎる。限られた出番でしっかり活躍してくれてましたね!バーボンがライ呼びしてるシーン良かったな~

 

でも最大のピンチを救ってくれたのは・・・今までコナンに守られ続けてきた灰原さんなのでした。「業火の向日葵」ではコナンへの想いを示唆されながらも心配しながら待つだけだったのに・・・。

まさか!そこまでするとは!「14番目の標的」を彷彿とさせる、海中の口づけ・・・。

まぁ救命のためなので仮に光彦が相手でもしたとは思いますが。その後の台詞で意味が確定してました。

「私たち、さっきキスしちゃったのよ...?」

蘭という絶対的なヒロインがいるからコナンへの想いはずっと秘められてきていました。それがこの瞬間だけは解放された。いつかのコナンのED「Sissy Sky」の映像でコナンへの想いは振り切って少年探偵団と博士を大事にするんだって解釈したこともあったんだけど、やっぱり、好きだったんだ。

 

手を繋いで、ひとつの空気ボンベを交互に口にしながら海上を目指している間はヒロインであれた時間。しかも・・・ここで流れるんだなぁ「キミがいれば」。やっぱ劇場版はこの歌がないと!前作の「ハロウィンの花嫁」も何が最高だったかって「キミがいれば」が流れたこと。最推し「探偵たちの鎮魂歌」以来16年ぶりでしたからw

 

でもまたひと味違いましたね。今までは勝利確定BGMって感じだったのが、今作のはめちゃくちゃロマンチック。。それがとても良い・・・。「キミがいれば」が誰の目線の曲なのかなって考えてみると、「ぼくがいる」って対の曲があるから、まずコナンではないはずで。じゃあ蘭かっていうと、それもあんまりしっくりこない気がしました。あなたが太陽ならわたしは月・・・って感じではない。蘭もまた太陽って感じがします。

今作のこのシーンを見たときに、あぁ、灰原さんにはぴったりなのかなって思いました。灰原さんも強くてやさしい人ではあるけどそれはコナンあってのものに思えます。数々のピンチで諦めなかったコナンの顔を思い出してる場面もありましたし。

バラード調からはじまって物語のハラハラに合わせてテンポが上がっていきクライマックスへって流れも完璧に決まってて素晴らしかったです。

 

そして最後、人工呼吸を待つかのように倒れたフリの灰原さん。さすがにまたコナンとキスしたいわけじゃないだろうとは思ったけどw どういうことだろうって思案してたら灰原さんが蘭に唇を重ねました!!これはこれでてぇてぇがある!?

その真意は彼の唇は返したわよって蘭への配慮でした。これぞ灰原哀!!決して割り込もうなんて気はない。自分の気持ちとコナンと蘭への想いをしっかり着地させていて、お見事でした。

 

「相手はイルカ…
そう…海の人気者…


暗く冷たい海の底から逃げて来た
意地の悪いサメなんかじゃ
とても歯が立たないでしょうね…」

 

蘭に対しては羨望とか最愛の姉と重なって辛いとかあったと思いますが、それも全部受け入れて、蘭のことも好きになっているように感じられました。

今作の主題歌の「美しい鰭」ってタイトルもこの台詞からかなって考えられるし、イルカやサメに注目するとさらに深く楽しめそうです!

20年以上に渡って紡がれてきた灰原哀の物語がここに結実したような、そんな映画で最っ高に楽しめました。むしろ映画だからこそ描けたのかもしれない。これまでの劇場版とは面白さの質が全然違う。このエモーショナルな体験を多くの人にもしてほしいけど原作全100巻は大変ですねw

 

今作はさらにいくつか原作ファンを揺さぶる事象がありました。

組織のボスの姿を最近見ていないNo.2ラム。ベルモットにだけ老若認証という年齢の幅を超えた人物の特定技術を破壊しろとの命令。

このことからベルモットだけじゃなくボスまでも若返りしていることが伺えます。その秘密を共有しているからベルモットはボスの特別なのか。

今作のCパート、ベルモットが灰原を助けたのはフサエブランドの購入権を譲ってくれたから・・・と、この映画だけ見ればそう捉えられるかもしれません。ただ自分はフサエブランドが実は組織と関わりがあるんじゃないかと噂を聞いていた状態でこの映画を見たので、やっぱり何かあるんだ!と確信めいた気持ちになりました。あまりに意味深にフューチャーされていましたし。

フサエブランドは阿笠博士の初恋の相手が立ち上げたブランドです。その回はそれはそれで素敵な話だったんですが、まさか本当に重要な可能性があるとはね。フサエさん、もしくはボスとベルモットが家族である可能性が・・・。

しかもその回見返したら灰原さんがアメリカにいたときにいじめられてたって話が出てきてて・・・それって今回の映画で描かれてたやつ~~!そういう部分からも今回は重要回でした。

 

全体的に絵のクオリティも上がっているし、内容も重要なもので、そして灰原さんの魅力が詰まっている。とても素晴らしい作品でした!歴代最高売上を更新したのも納得の出来です。100億突破おめでとうございました!

 

そして来年は、平次と和葉+キッド回になりそうですねw 

トランプの♥のAがビジュアルに出てきたので・・・Aの予感?

コナンにいる多くのカップルも大体もう結ばれてますからね。来年に向けて平次も告白するのかなと期待しています。

ほなまた、来年!楽しみにしておまんがな