ef-ef14の軌跡

【感想】すずめの戸締まりを見たよ。

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最近は配信されたら見ればいいやの精神で劇場には足を運んでいなかったのですが、新海作品はスクリーンで見たいと思って久しぶりに映画館へ!

 

冒頭からだいぶファンタジーちっく。『君の名は。』や『天気の子』に比べるとだいぶそう感じました。それでも現代日本が舞台なので『星を追う子ども』ほどではないけども。

廃墟にある扉から悪しきエネルギーみたいなのが出て地震を引き起こしてしまう。それを”閉じ師”として日本全国の扉を封じていくという物語。少しキングダムハーツぽいw

大震災をテーマにしているのは少し耳にしていました。舞台は2011年から12年後。

 

草太(そうた)さん

謎のイケメン。新海作品史上最も女の子慣れしてそう。呪われて椅子になってしまったことですずめと物理的に距離が近いシーンが結構多いんですが、特に照れたりする様子なし。瀧くんなんかここぞとばかりに胸を揉んでいたというのに・・・。

話し方とかも漫画のキャラぽいからかちょっと遠い存在に感じましたね。年下のすずめを”さん”付けで呼ぶのはなんかイイ。 

 

(たまき)さん

すずめの叔母さん。そう、叔母さんなんですよね。母親ではない。結婚したわけでもないのに子供をひとり育てなきゃいけない。その苦労たるや。心の奥底にあった本音をぶつけたシーンはえぐすぎた。でもね、決してその気持ちだけじゃない。それだけじゃないんよって。実子じゃないとか関係のない愛の深さを感じて良かった。

 

ダイジン

喋る猫。西の要石にして神らしい。元々人間なのか猫なのか、最後まで詳細な説明はなく謎の存在。

行動原理がわかんないから不気味でした。子供のように悪意のない悪意で世界を混沌に・・・。まぁ結局のところ悪い子ではなかったみたいですけど。

元々は猫で、要石として神が宿ったことで言葉を喋れるようになったんだろうか。もし人柱ならぬ猫柱として捧げられたのなら役目から解放されたら遊んじゃうのもしょうがない気がする。すずめが見せた好意にすぐ飛びついて、すぐ好き好き~ってなる無邪気さ、最後はすずめのために要石に戻る選択を取ってくれた。純粋なだけだったんだろうね。終わってみればもっと愛されるシーンがあってほしかったかも。

 

芹澤さん

草太さんの友達。教師になるらしいが見た目はチャラい。レトロな趣味を持っていて、おんぼろスポーツカーで懐メロを流しながら一緒に東北を目指す。すずめと環が本音をぶつけ合って空気が最悪なときに『けんかをやめて』を流す。ストレートすぎて逆に空気よめてないだろうw まぁ微妙にズレたその感性が作品の重たさの緩衝材になっていたようには思います。新海作品の友達ポジションってみんなめっちゃイイやつで芹澤も例に漏れずイイやつでした!草太さんとほんとに友達なのかは謎。趣味合うんかな?相当好きではあるみたい。

 

 

鈴芽(すずめ)

本作の主人公。三葉や陽菜さんに比べて身長が高く運動神経良さそう。今作は体を張るシーンが多かったからでしょうかw 

西日本住みということで東京に新幹線で行くシーンでとても親近感湧きました。Googleマップで現在地がとてつもない速さで移動していくことに感動するところとか、富士山見えるかなってわくわくしてたところ。この映画みて思い出した。同じことしてたw

ただ、すずめは自分とは決定的に違う部分があって、それは今作において重要なところ。大震災の当事者であることです。

自分が住んでいたところは直接的な被害はありませんでした。大変な状況はテレビで伝わってきていたけど自分たちの日常は当たり前のように続いていて。次の日、学校行事なんかをやってるのが奇妙な感覚でした。

大震災のとき、すずめは4歳。元々シングルマザーだったのにその母親をも亡くした。4歳の子供にとって母親は世界の全てでしょう。懸命に母親を探す悲痛な叫びが・・・かなり・・かなりキツかった。でも、かけてあげられる言葉なんて、ない。気持ちは絶対わかってあげられないし、何もできない。芹澤さんが廃墟を見て綺麗だと言った。すずめはこれが綺麗・・?と困惑した。当事者とそうじゃない人との決定的な違い。

だからこの物語を見ていくなかで、自分をどこに置いていいのか掴みきれなかった。この作品のどこにも自分はいなくて。過去の二作に比べると入れ込みは薄かったかもしれない。

ただ、震災を経験してないからハッピーライフハッピーホームタマホームで日々を過ごせているかって言ったら、そんなこともない。わざわざ病みツイートなんかしないけど生きるのやめたくなってしまうことはある。きっと誰もが諦めず生きろと言う。生きてれば良いこともあるよって。でもそんなの、なんの説得力もなくて信じきれない。

 

残酷な現実を前にして泣きじゃくる4歳のすずめを抱きしめてあげられたのは・・・母親、ではなく、16歳になったすずめでした。

あなたはちゃんと大きくなれる、誰かを好きにもなれるし、好きになってくれる人にもたくさん出会える、暗闇でもいつか必ず朝が来るから!と。ここの台詞すごい良かったから一言一句正しいのが知りたい。

草太さんを好きになり、叔母さんや友達、旅の中で出会った方の温かさに触れて絶望を乗り越えられた。他人じゃなく自分自身の経験だからこその説得力。

現実では過去の自分に言ってあげることはできないけど、でも10年くらいを振り返ったときに確かに良いことはたくさんあったと思う。あのとき生きるの諦めなくて良かった。それは間違いない。今は今でしんどいことも多いけど、頑張って生きてれば報われるかもしれない。ほんとのほんとは生きたいんだから!しっかり生きていこう。それを応援してくれるような、そんな作品でした。

 

震災からもパンデミックがあって戦争があって、ご時世的にも厳しい世の中。そんな世界に映画というエンタメで何を伝えられるだろうかって考えたことと思います。新海さんの伝えたいこと、自分は受け取れたつもりです。ただ綺麗事を言うのは簡単なんですがフィクションだとしても絵空事に思われたらそのメッセージにはあまり価値がなくて。「すずめの戸締まり」はしっかり説得力を持たせてくれて納得することができました。素晴らしい作品でした。

 

単純にストーリー展開とかの面白さで言ったら『君の名は。』『天気の子』のほうが楽しめたとは思います。まぁでも今作が悪いというわけではなく、個人的にはその二作が特別すぎただけかなw

とにかく見に行って良かったです!新海監督を十年以上前から推していると古参アピールだけ最後にしておいて感想文を締めようと思います。ではまた!次の作品も楽しみにしておりまする。

 

すずめを描いたあとに他のを見直すと中々あれ・・・w